NO.2 原稿を作成する
NO.1 はじめに
NO.2 原稿を作成する (この下の記事です)
NO.3 見積もりを取る
NO.4 制作業者を選定する
NO.5 契約書の締結、代金の支払い
NO.6 校正
NO.7 検品、納本、献本
NO.8 書店等での販売
NO.2 原稿を作成する
原稿の仕上がり状態は制作費用に関係するの?
■ 原稿はよく推こうしよう
自費出版本が自分史の場合であれば、これまで歩んできた人生の軌跡について募る思いがあって、これを文章に書き表し、家族や親族、友人たち、ひいては一般の読者に伝えたいと願って原稿に向かうことになると思います。
こうして原稿は書き上げると、書き上げたことそのものに満足してしまって、十分推こうをしないまま出版社に手渡し、あとから読み直してその不十分さに気づくことがよくあります。
文章というものは、読めば読むほど修正点が出てくるものです。出版社に手渡す前に、納得がいくまで何度も何度もしっかり読み返して推こうしましょう。
できることなら、家族や知人等にも読んでもらって感想を聞き、さらに推こうするという作業を重ねたいものです。
■ 原稿の仕上がり状態
原稿は、手書きでもいいのですが、最近はパソコンで作成する人が多くなっています。
ここで、原稿の仕上がり状態のパターンを見ていきましょう。
◇1 手書き原稿
通常、400字詰め原稿用紙に書いていきますが、今日、パソコンの普及で原稿用紙を使うことはめっきり減ってきました。
◇2 デジタルテキスト原稿
パソコンのワープロソフトでテキスト化された原稿。この原稿には、いわゆる棒ゲラと呼ばれる文字を打ち込んだだけのものと、本の体裁を想定してページ毎に面付けされた原稿があります(→掲載ページ)。
◇3 レイアウトされた原稿
パソコンの専用ソフトで、文字、写真、イラストなどが貼られレイアウトされた原稿。DTP作業(→掲載ページ)が済んでいればそのまま印刷原稿にすることができます。
■ どんな原稿が制作費用を安くするの?
原稿の仕上がり状態と自費出版本の制作費用の関係では、上に述べた①が最も製作費用が高くつき、③の状態に近づくほど、制作費用を安く抑えることができます。
しかし、ここで考えておかなければならないことは、原稿の内容の完成度との関連です。
編集者の目を通さない原稿は、すべてがすべてではないでしょうが、往々にしてひとりよがりになったり客観性を欠いたりします。それをチェックするのは編集者の役割です。
よく、本は基本的に著者と編集者の共同作業といわれますが、編集者はその自費出版本を市場に出しても恥ずかしくないよう、また、読み手に共感と感動をあたえるものになるよう、文章内容や構成のチェック、校正などを行って、自費出版本の完成度を高めていきます。
ところが、DTP作業を施した原稿は完成原稿でなければ意味がありません。これに新たに手を加えるとなると、ひょっとすると、その修正作業で手書き原稿をDTP化する以上の費用がかかってしまうかもしれません。
それはパソコンの専用ソフトでレイアウトされた原稿でも同じことがいえるでしょう。
結局、編集者の目、第3者の目を通さない原稿で出版することは、安かろう、悪かろうを地でいくような自費出版本になる可能性があるのです。
原稿の仕上がり状態がよければ制作費用は安く抑えることはできますが、それは必ずしも完成度の高い自費出版本づくりとは連動するものではないことを忘れてはなりません。
■ どの程度の仕上がり状態の原稿を出版社に渡せばいいの?
原稿のDTP化やパソコンの専用ソフトで原稿を作成するというのは、完全な原稿を作り上げてこそできることですが、そこまでいかない場合で自費出版本の制作を出版社に依頼するときには、どの程度の仕上がり状態の原稿を渡せばいいのでしょうか。
深川昌弘さんの「これからの自費出版―虎の巻―」では、出版社の立場から、自費出版本の依頼者には「完全原稿」を用意してほしいと書かれています。
ここでいう「完全原稿」とは「これから本にしようとする上での素材(文字原稿に加えて、文字以外の原稿、例えば写真や図版などを入れられる場合は、そのネガ、版下も含みます。これらを業者さんへのデータ持ち込みとする場合は、文字データ及び画像データが必要になります。)が現実にできあがっていて、今後大幅な変更が生じない状態の原稿を指す」と述べた上で、次のようにいっています。
原稿を完全なものにすることなどできないと考える人もおられるかも知れませんが、細かい用語の選択や表記・表現法にいたるまできっちりとしたものにしなければ完全原稿とはいえないと規定してしまえば、誰しも原稿などだせなくなってしまいます。しかし、ご安心ください。ここで、いうところの完全原稿とはそれほど厳格なものではないのです。
完全原稿であるためには、第1に「本のテーマとそれを支える骨格」が整っていることがまず求められます。たとえていいますと、骨格の中心を背骨とし、それを構成するものが何本かの肋骨群であるとしますと、それらがしっかりできあがっているかどうか、ということに尽きるのです。
つまり、脱稿後にこれまであった肋骨の何本かを取り除いてしまわれたり、逆にこれまでなかった肋骨を「新たな賞」として追加されたり、肋骨の順番を入れ替えるなどの変更が生じてしまうようでは、それは完全原稿とはいえないということなのです。
深川さんがいいたいことは、要するに自費出版本の骨格がしっかりと見える原稿ということですね。
深川さんはこのような「完全原稿」でないと、のちのちの作業次第で予期しない追加料金が発生する可能性があると述べています。
それに制作料金の関係でいえば、出版社が自費出版本を見積もる場合にもっとも重要なのは総ページ数です。総ページ数が決まれば、8割方の費用が決まるといいます。
したがって、出版社に手渡す際の望ましい原稿とは、自費出版本の骨格がしっかり見えて、その原稿で自費出版本の総ページ数の当たりをつけることができる原稿ということになります。
そうでないと、出版社は与えられた条件で一応の見積もりは出すでしょうが、編集、制作が進むにつれて、追加料金を求められることもあることを念頭においておかなければなりません。
■ 原稿はどうしてもなければいけないの?
それでは、原稿がなければ自費出版本の制作を依頼できないかといえばそうではありません。著者から聞き取りをしてそれを原稿にまとめることや、テープ起こしをしてこれを本にまとめてくれる業者は、費用さえ気にしなければ、インターネットで探せばいくらでも出てきます。
ゴーストライターという職業も立派に成立していますからね。もっとも、自らをゴーストライターと名乗っている人は多くはないでしょうが・・・・・・。
■ 写真はそのまま出版社に渡していいの?
自分史の場合には、思い出のスナップや記念写真、家族の写真などを、効果的に文書の中に配置する場合が多く見受けられます。
写真には、①昔ながらのアナログのカメラで撮影したフィルム、②プリント(紙焼き)アウトした写真、②デジカメで撮影したデジタルの写真データがあります。
デジカメの写真データは印刷用に加工し、ファイルのサイズや保存形式を変更すればそのまま使用できますが、①と②はいったんスキャナーで読み取りデジタルデータにしてから使います。
原稿をDTP化するためには上記の作業を欠かすことはできませんから、なかなか素人には難しいものがあると思います。この文章を書いている私にもできません。
この場合は、これらの写真やイラスト、図表等を原稿のどの位置に配置するかをしっかり明示しておかなければなりません。
■ 原稿をデータで出版社に渡す場合の注意点
DTP化された原稿の場合は別ですが、原稿をデータで出版社に渡す場合には、データだけではなく仕上がった最終原稿のコピーも用意しておきたいと思います。
出版社では、受け取った原稿をテキストデータに変換してからDTP化します。このテキストデータに変換する場合に、文字化け(手渡した原稿データに記載されている特殊記号や外字(旧字)がテキストデータ上でまったく異なった記号等に変換される現象)が起こるのです。
出版社は、文字化けを修正するために、元の文字が何だったのかを確認する必要があります。そのためにどうしても最終原稿のコピーがいるのです。
「それぐらい、出版社が手渡したデータをプリントアウトしておいて確認しろ」という声が聞こえてきそうですが、そこは出版社との信頼関係。著者側でもその程度の配慮はしておきたいものです。
文章の書き方、原稿の作成の仕方については、「文章の書き方、原稿の作成の巻」(現在、制作中)で詳しく説明します。
さあ、原稿ができあがれば次は予算に合わせた出版社の選定となりますが、出版社を決めるためには、まず、数社から見積もりを取って比較することが大切です。
次項「NO2.見積もりを取ろう」では、見積もりの取り方などについて説明します。
「自費出版本の原稿作成から書店販売までの手順の巻」に記載の項目は次のとおりです。
NO.1 はじめに
NO.2 原稿を作成する (この上の記事です)
NO.3 見積もりを取る
NO.4 制作業者を選定する
NO.5 契約書の締結、代金の支払い
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